その479 ラーメン熱い 2018.6.10

2018/06/10

よくある笑い話に、ラーメンを注文したら、持ってきたおばちゃんの指がどんぶりに入っている、というのがある。
「おばちゃん、指!、指!」
と客が言うと
おばちゃんが「だいじょうぶだよ。熱くねえから。」

 

似ているけどちょっと違う話。
少し田舎のラーメン店に入って、席に座ろうとキョロキョロしていると、「食券買ってください。」と言われた。
なるほど、入り口のすぐ横に券売機がある。あんまりメニューは多くない。
この店のスタンダードそうな塩ラーメンの食券を買って、カウンターに座った。
チケットはカウンター越しにおかみさんに渡す。

 

ほどなく、ラーメンがカウンターの向こうから運ばれてきた。
客はどんぶりの置かれたカウンターの上段から自分で前のテーブルまで降ろさねばならない。
やや大型のどんぶりで、もやしとネギがたっぷりかかっており、スープもなみなみと入っている。
両手でどんぶりを持とうとするが、これがやたらに熱い。
30センチほどの高さであるが覚悟して持たないと、ラーメンをひっくり返してしまう。

 

思わず「こりゃ熱いね。」と言ったら
「ここを持てば熱くないですよ。」とおかみさんから、どんぶりの上の方を持てと指示された。
いや、それでも熱い。テーブルにあったティッシュを使おうかと思ったが、
おかみさんの顔に一瞬見えた「情けない奴」という表情に対して、
「了解です、頑張ります。」と意を決してラーメン降ろしに挑戦し、
なんとか無事に自分の前に置くことができた。
近頃の飲食店は、手袋をして調理をすることが多い。
おかみさんも薄いゴムの手袋をしていた。だから「大丈夫、熱くねえから」なのでしょう。
味はおいしい。少し薄味だがチャーシューがネギともやしの下に、たくさん入っている。

 

だが、この店はセルフが基本のようで、水は自分で入れる。
レンゲと箸はカウンターに置いてある入れ物から自分で取って使う。
雑誌は置いていない。
基本的におかみさんはカウンターの中から出てこないですむようになっている。
ちょっとしたサービスを省くとこのようになるのか。
「大丈夫、熱くねえから」と指を入れて持って来てくれるラーメン屋さんの方が、なんだかいいねえ。